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実は結婚したことがある。
私は、この世に結婚改姓があると知ったときから、結婚すると女の人は名字が変わるのだと教えられたときからずっと、自分の名字を変えたくなかった。
それを結婚前に相手に話したら、相手は名字にはこだわらないと言ってくれた。
でも相手は長男で、もはや長男であることに法的な意味なんてないこの時代に、家父長制のないこの時代に、相手のご両親は彼が名字を変えることを嫌がった。
それで、仕方なく私が名字を変えた。
私がどれだけ嫌だと思っていても、多くの女性は結婚改姓を今までやってきてるわけだし、案外私もやってみれば平気なのでは?と、自分を鼓舞するためにポジティブな自己暗示もしてみた。
でも実際に改姓してみたら、結局、本当に本当に本当に嫌で嫌でたまらなかった。
苦痛でしかない。
新しい名字で呼ばれるたびに、元々の私が消えていくようだったし、新しい名字で呼ばれても、「誰?」と思っていた。
役所で銀行で病院で、通帳にもクレジットカードにも保険証券にも、どこにももう元の私はいないようだった。
もちろん新しい名字も、記号として音として、何度も呼ばれれば慣れてはいくんだけど、慣れることと自分自身のものだと思うこととの間にはマリアナ海溝より深い溝がある。
自分で自分につけた名前ならまだしも、相手がたまたまその名字だったから私はその名字なったにすぎず、その名字は相手の名字であることに変わりはないし、私の名字じゃないことに変わりはない。
手続きがめんどくさすぎる&お金も時間もかかりすぎる
問題はアイデンティティだけじゃないし、手続きだけじゃない。
私にとっては両方ある。
名字の変更に伴う諸々の手続きが死ぬほどめんどくさかったのは言うまでもないことだろうとは思うけど、念のため書いておく。
婚姻届提出(あるいは離婚届提出)
住民票取得
免許の書き換え
車を所有しているなら車検証の名義の書き換え(引越しを伴わなくても車庫証明必要)
銀行口座の名義の書き換え
クレジットカードの名義変更、ETCカードの名義変更
届いたクレジットカードで携帯等の支払いの変更
届いたクレジットカードで任意保険等各種の支払いの変更
会社等からの給与等の振込に使っている口座の変更
全ての保険の名義の変更
全ての有価証券の名義変更
保険証の変更
今後もかかることのあるすべての病院の診察券の名前の変更
パスポートの名前変更(改姓直後の変更が必須じゃないにしても、実際に海外旅行に行く場合には航空券の名前とパスポートの名前の一致が必須)
通販の支払いの変更、名前の変更
TSUTAYAの会員証の名義変更
ETCマイレージの名義変更
人によって場合によってたぶんまだほかにもある
変更手続きのみではなく、大学卒業資格が受験資格に含まれているような試験を受けるときに大学卒業資格の証明を提出する際は、卒業時の姓と今の姓が違う場合、卒業証書や卒業証明書に戸籍を添えなければならない。
そして、出願時点と受験時点で名字が違う場合、改姓したことがわかる戸籍を持参しなければならない。
私はある年度の社労士試験受験のときに、出願時と受験時の2回、戸籍謄本を必要としたことがある。
望んで改姓したわけでもないのに、450円×2通、本当に無駄な出費だなと思う。
そのお金で、試験後に美味しいケーキでも食べたかった。
改姓していない人が払わなくていいコストを、改姓したことがある人は永遠に払い続ける機会があり続ける。
もし社労士登録後に改姓した場合、社労士証票の書き換えにもお金がかかる。
氏名変更の場合、戸籍抄本(450円)と顔写真と証票添付変更登録と証票再交付手数料の合計額(5,000円)が必要。
もし、すでに表面を戸籍姓に変更し裏面に生来姓を記載された証票を持っている上で、表面に生来姓のみの表記の証票に戻したい場合、証票の再発行に、3,000円かかるらしい。
改姓しなければかかることのなかった費用が、改姓したせいでかかる。
自分の名前を取り戻した
紆余曲折あって離婚して、私は私自身の名字に戻った。
名字が戻ったときは本当に嬉しかった。
それでも名字を戻す手続きの煩雑さには本当に死にそうになった。
「相手は離婚してもこんな手続き必要ないのに、私だけがこんなに時間も手間もお金もとられている」と恨めしく思った。
望んで改姓したならまだしも。まだしも…。
名字が変われば字面上書面上別人になるわけだから、住所が変わる手続きと同じで済むはずがない。
自分自身の戸籍なんて、改姓していない人が見る機会はどれだけあるだろう?
そんな手続きを、望んでやっている人は一体どれだけいるだろう?
夫婦は、家族は、同じ名字であるべきだ、と信じる人たちはどれだけいるだろう?
そう信じている人たちはもちろん名字を同じにすればいいと思うんだけど、特に別に同じにしなくてもいい人たちや自分の名字でいたい人たちまでが、時間的金銭的精神的負担を背負わされてまで、やらなければならないことだろうか?
しかも、夫婦の一方のみが?
自分の名前のまま生きていきたい気持ちを国に認められたい
私はただただ、自分の名前で生きていきたい。
かといって、結婚する際に相手の名字を失わせたいとも思ってない。
自分が改姓したくないのに、パートナーに改姓させたいと思う人が、いったいどこにいるだろう?
相手と同じ名字になりたいと望む人の気持ちや存在を否定する気はないけど、同じように、自分の名前のままで生きていきたい人の気持ちや存在も否定されるべきではないと思う。
選択的夫婦別姓の実現、ほんとに、早く頼むよ…。